そういえば、シント=トロイデンの話
先日、シント=トロイデンがヨーロッパリーグのプレーオフで負けたんですよね。で、「あー、今季のヨーロッパは終わりか」と思ったら、次のニュースが「カンファレンスリーグ出場決定」。
……え、負けたのに出るの?
正直、こう思った人、けっこう多いんじゃないでしょうか。私もそうでした。で、周りに聞いてみたら「なんか降格するやつでしょ?」「敗者復活?」と、みんな微妙に自信なさげ。じゃあ一回ちゃんと整理してみようか、というのが今回の話です。練習後のビールのつまみくらいの気持ちで読んでもらえれば。
ヨーロッパの大会って、実は3階建てなんです
UEFAがやっているクラブの大会は、ざっくり言うと3つ。
- 1階(いや、最上階):チャンピオンズリーグ(CL)
- 2階:ヨーロッパリーグ(EL)
- 3階:ヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)
CLとELは昔からある「あの二つ」ですね。カンファレンスリーグは2021-22シーズンに新しくできた、いちばん若い大会。なんでできたかというと、「小さい国のリーグのクラブにも、ヨーロッパの舞台に立てる現実的な道を作ろう」というのが狙いでした。それまでは、ベルギーやオランダの中堅クラブが本戦までたどり着くのって、けっこう険しかったんですよね。
ここが本題。「落ちる」けど「消えない」の仕組み
で、いちばん誤解されているのがここ。
CLの予選やプレーオフで負けたクラブは、ヨーロッパから追い出されるんじゃなくて、一つ下のELに「回される」んです。同じように、ELのプレーオフで負けたクラブは、さらに一つ下のカンファレンスリーグに回される。
つまり、あのシント=トロイデンの流れは、「ELプレーオフで敗退 → だからECLへ」という、ルール通りの、ごく普通の展開だったわけです。罰でもなければ、くじ引きでもない。最初から組み込まれた「セーフティネット」なんですよね。
だから「負けたのに出場」というより、「負けた先に、ちゃんと次の舞台が用意されている」と考えると、急にスッキリしません? ちなみに、上の階から降りてきたクラブは、だいたい下の大会の本戦(リーグフェーズ)からの参加になることが多いです。「エレベーターで降りたら、そこもちゃんと会場だった」みたいなイメージです。
なんでUEFAはこんなややこしい作りにしたの?
一言でいうと、「ヨーロッパの大会に、できるだけ多くのクラブを、できるだけ長く残したいから」。
予選で負けた瞬間に「はい終わり」だと、8月の時点でヨーロッパの夢が消えるクラブが山ほど出てしまう。それって、クラブにとってもファンにとっても寂しいし、正直、UEFAにとっても試合が減って収入が減る話でもある。
なので、階段状に受け皿を作って、負けても一段下で戦い続けられるようにした。試合は増える、放映も増える、小さいリーグのクラブも秋や冬までヨーロッパを味わえる。……と、ここまで聞くと綺麗な話に聞こえますが、正直、試合数が増えるということは、放映権やスポンサー収入も増えるということで、UEFAにとってもしっかり儲けが出る仕組みでもあります。もちろん出場するクラブにも配分金は入るので、みんなが得をする話ではあるんですが、「クラブのため」の顔をした「UEFAのため」でもある、というのが実際のところだと思います。
というわけで
- ヨーロッパの大会は CL → EL → ECL の3階建て
- 上の大会のプレーオフで負けたら、一つ下に回される(消えない)
- それは罰じゃなくて、最初から用意されたセーフティネット
- 試合数が増える分、UEFAにとっても収入が増える仕組み
ベルギーのクラブがカンファレンスリーグに出ているのを見かけたら、「あ、あれね」と一言添えられるはず。
それじゃあ、また蹴ったあとで。